こんにちは。にのじです。
今回は、最近経験した藍藻の蔓延とその対策について紹介します。できれば蔓延する前の段階で除去するのが望ましいですが、それなりに繁殖してしまった状態からでも駆逐できるものなので、リセットに踏み切る前に色々試してみましょう。
私は3ステップの対策で駆逐しました。
藍藻(シアノバクテリア)とは
ガラス面にじわじわ付着してくる緑のコケとは違い、ソイルや水草にべったりと纏わりつく濃い緑の物体です。
藍藻(らんそう、blue-green algae)または、藍色細菌(らんしょくさいきん、cyanobacteria)は、光合成によって酸素を生み出す酸素発生型光合成細菌である。
「藍藻」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
2019年11月15日 (金) 10:52 UTC
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%97%8D%E8%97%BB
名前に「藻」という字が入っていますが、実は植物ではなく光合成を行う細菌の仲間です。今まではガラスとソイルの間にじんわり発生する程度で、表立って蔓延することはありませんでした。しかし、あることをきっかけに大繁殖してしまったのです。
藍藻蔓延のきっかけ
ガラスパイプを使用している方はご存知かと思いますが、しばらく使用していると内側に(掃除をサボり過ぎると外側にも)茶色や濃緑のコケがべったりと付着します。
そのままでも見た目が悪いこと以外には特に問題ないと思われがちですが、このコケを除去すると水中の栄養分の余計な行き先が減り、水草の調子が良くなることがあります。
掃除するにはいくつか方法がありますが、私はハイターに漬けた上でクリーナーブラシを通して除去しています。
この時は、購入したばかりのクリーナーブラシを試してみたくなり、「もしかしてわざわざ外してハイターに漬けなくても綺麗にできるんちゃう?」と横着して、ガラスパイプを水槽に設置したまま排水側から突っ込んでしまったのです。
その結果、確かにコケはブラシである程度落ちましたが、落としたコケは水流に乗って水槽内へ拡散してしまいました。これが大炎上の始まりです。
とりあえず目に見えるコケは摘んだり吸い出したりして除去しましたが、取り切れなかった部分が勢力を増し、数日後にはソイルの表面や水草の根元にべったりと貼り付き、徐々に広がってしまいました。絶対に真似しないで下さい。
藍藻の駆除方法
調べたところいくつか対処法は存在するようですが、私が実際に試した方法のみ紹介します。
手作業で除去する
既に蔓延してしまった藍藻にはこれが一番効きます。ちまちまとピンセットやスポイトで剥がして回収するのもアリですし、ソイルにがっつり広がっている場合は撒き散らさないように注意しつつソイルごと回収するのも有効です。そしてこの作業、長時間やっていると腰をヤる可能性があるのでご注意下さい。
生体兵器に食べてもらう
スネール対策の時と同様、藍藻を食べてくれる生体が存在します。藍藻除去に一役買ってもらおうと、ヒメタニシとブラックモーリーを導入してみました。
ヒメタニシ
ヒメタニシはベランダビオトープから4匹派遣してみましたが、やはり貝類なので「通り道にあれば食べますけど?」くらいの除去能力でした。それよりもソイルに潜る習性のせいか、育成中のキューバパールグラスがかなり抜根してしまいハゲ散らかす原因になってしまいました。正直それほど藍藻除去効果を感じませんでした。
ブラックモーリー
藍藻と油膜を食べることで有名なブラックモーリーです。ブラック以外のモーリーでも食性は同じらしいので派手なライヤーテールモーリー等も候補としては挙がったのですが、メイン生体のレッドファントムテトラを引き立ててくれるシックな黒が良いと思い導入しました。これはもうスイミーの世界ですね。
藍藻対策で導入したものの、藍藻に限らずロタラの表面についたコケを突いたり、水面の油膜をパクパク食べたりとなんでも食べてくれるので重宝しています。実際、藍藻が着いたソイルを執拗に突いて綺麗にしているシーンを見たりもしたので、一定の効果はあるように感じました。これまでお掃除生体はサイアミーズフライングフォックスが最強だと思っていましたが、強力なライバル出現といったところです。今後も水槽の維持管理に貢献してくれそうです。
オキシドール(過酸化水素)を添加する
さて、次はちょっと薬物っぽい雰囲気になりますが、消毒に使用されるオキシドール(過酸化水素濃度3%程度のもの)を添加する方法です。薬局で購入できる第三類医薬品ですが、水槽に添加することで藍藻除去に効果を発揮してくれます。
ただし、使用方法やデメリットには注意が必要なので、使用するかどうかは吟味した上で決めるべきだと思います。
オキシドールで藍藻を駆除できる原理
オキシドールの主成分である過酸化水素水(H2O2)には、以下のような特性があります。
多くの生物種は過酸化水素分解酵素のカタラーゼを持つため、生体内での過酸化水素の寿命は極めて短い。つまり、傷の内面を含む体内に過酸化水素が侵入すると速やかに酸素に分解される。実際にオキシドールを傷口に塗布した際に発泡するのは、過酸化水素が分解して酸素が発生するためである。これは微生物分析に応用されており、一般的に通性嫌気性細菌はカタラーゼを持つが、偏性嫌気性細菌は持たないことから、細菌の種類を判別するのに用いられる。
「過酸化水素」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
2019年11月15日 (金) 10:52 UTC
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E9%85%B8%E5%8C%96%E6%B0%B4%E7%B4%A0
要約すると、過酸化水素は分解酵素「カタラーゼ」を持つ生物には無害、持たない生物には有害なものなのです。そして、藍藻は前述の通り植物ではなく細菌であり、カタラーゼを持たない原核生物なので過酸化水素を分解できずに死滅してしまうというわけです。そして、時間の経過と共に過酸化水素は水と酸素に分解されます。
ネットで調べてみると『オキシドールを添加すると水草の光合成が活発に行われる』という説を見かけますが、これは勘違いだと思います。確かにオキシドールを添加することで水草から普段よりも気泡が上がる様子は確認できますが、これは過酸化水素が分解されて発生した酸素によって水中の酸素濃度が高くなり、溶け切れなくなった酸素が気泡として見えるようになっただけのことです。
注意点
なーんだ、じゃあオキシドールをぶっかければ良いじゃん!と思うかもしれませんが、水槽内には他にも影響を受ける生き物がいます。シダの仲間やウィローモスなどの水生コケの仲間はダメージを受けてしまう可能性があるようなので、これらの水草が導入されている水槽への添加は避けた方が良いかもしれません。
ネット上では貝類にも影響があるという説もありましたが、理由がはっきりしなかったので私は無視しています。貝は真核生物ですしね。
また、大量に添加すると水槽内のバクテリアを死滅させてしまう可能性があります。用法・用量を守って正しく使う必要がありますね。
完全遮光
藍藻は光合成によりエネルギーを生み出す細菌なので、遮光が効きます。他の方法と組み合わせ、量を減らしてからトドメを刺すような感じで数日程度完全遮光するのがお勧めです。
オキシドールの藍藻駆除実験
と、ここまで色々と書いてきたものの、ネットで調べただけの知識を鵜呑みにするのは危険なので、オキシドールを使ってちょっと実験をしてみました。
これが水槽から採取した藍藻です。藍藻単体は非常に軽いので水に浮くのですが、粘着力があるので底にくっついています。このままトイレに流してしまいたい気持ちに駆られますが、グッと堪えて実験開始です。
このプラケースにオキシドールを添加し、2時間放置した後の様子がこちらです。
なんということでしょう。あれだけへばりついていた藍藻が剥がれ、水面に浮かんでいるではありませんか。ブログ素材のために同じ角度から撮影したいという匠の想いは完全に裏切られました。見た目は青々とした緑色から変化して全体的にやや黒く、生気を失ったような佇まいを見せています。
結論:藍藻にオキシドールは有効でした。
にのじ流 藍藻の駆除方法
藍藻の発生からあれこれ試してみましたが、なんとか水槽内での大繁殖を食い止めることに成功しました。ガラスとソイルの間にはまだ若干緑の部分が残っているものの、ソイル表面に出てこない限りは一旦問題視しないこととしています。
これから記載する駆除方法は、あくまで”私の水槽ではこれで駆除できた“という内容ですので、参考程度に読んでもらえると嬉しいです。
- ステップ1手作業で除去
まず、表面に出てきている(光の当たる位置にある)藍藻を手作業で除去します。前述の通りピンセットやスポイトでちまちまと取っていきます。見える範囲は全部取る!くらいの気持ちでやり始めて、こんなもんでいいか!と思える程度まで取ります。
- ステップ2オキシドールの添加
カップで計量したオキシドールをリリィパイプの排水口のあたりに注ぎ、水流に乗せて水槽内に拡散させます。添加量は水槽サイズ(60cmハイタイプ)から水量を概算し、中身がオキシドールと噂される「ア●チグリーン」という薬の添加方法を参考に、以下の通りとしました。
1日目:5ml
2日目:10ml
3日目:15ml
4日目:20ml
5日目以降:1日おきに20ml→藍藻が発生しなくなったら添加を止める。
※8日目には藍藻の発生が確認できなくなりましたが、念のため10日目までは20mlの添加を続けました。
- ステップ3完全遮光
2.5日間の完全遮光をしました。事前準備として水換えとオキシドール20mlを添加し、エアレーションをかけた状態で遮光を開始しました。
にのじ併せて、藍藻を食べてくれる生体を入れておくと更に良いと思います。
本記事執筆時点で遮光から2週間が経過していますが、藍藻の再発防止に成功しています。
余談ですが、遮光する直前まで悩まされていた緑色の油膜も綺麗さっぱりなくなりました。遮光最高!
まとめ
いかがでしたでしょうか。初めて藍藻の蔓延を経験しましたが、水槽を見るたびに広がっていく濃緑の物体には本当に萎えさせられました。でも、ちゃんと対処すればちゃんと駆除できるものとわかったので、予防の意味も込めてたまにオキシドールを添加しつつ様子を見ようと思います。
今回は以上です。
スネールより嫌いだけど、スネールより楽に駆逐できました!
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
それではまた!
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